ミルクティーからビールまで…透明なのに味がする「透明飲料」はどうつくる?

ミルクティーからビールまで…透明なのに味がする「透明飲料」はどうつくる?

SHARE

最近、スーパーやコンビニで見かけるようになった「透明飲料」。最初は単に水に少し味がついた程度としか思っていなかったのですが、コーラやビールまで透明飲料になったとすると、それはもう単純なものではなさそうです。見た目は透明なのにいろいろな味のする飲料は、いったいどのようにつくられているのでしょうか。

透明飲料のヒントは「蒸留酒」にあり?

近年、透明なミルクティーや透明なビールなど、私たちをビックリさせる「透明飲料」が相次いで登場しています。みなさんは、透明飲料を飲んだことはありますか。一見、水にしか見えないほど透明なのに、口に含むとしっかり風味が感じられるので、脳が混乱してしまいますよね。

そんな斬新な透明飲料ですが、実は水以外では、透明なのに風味を感じられる飲み物が以前からありました。それは、焼酎やウォッカなどの「蒸留酒」。透明飲料のつくり方のヒントは、蒸留酒をつくるプロセスに隠されているのです。

蒸留酒は、その名の通り「蒸留」という方法でつくられるお酒。「蒸留」とは、液体を加熱して気化させ、再び冷却する操作のこと。このとき、液体に含まれる成分ごとに気化する温度が異なるため、蒸留することで、特定の成分だけを分離したり濃縮したりできます。

蒸留酒は、水の沸点が100度、アルコール(エタノール)の沸点が78.3度という「温度の違い」を利用して、アルコールを濃縮することでつくられます。

ところで、蒸留の際に気化するのは水やアルコールだけではありません。蒸留酒の原液に含まれるさまざまな成分も、同時に気化します。その中には、原料の風味のもととなる成分も含まれています。そして、アルコールを液体に戻すときに、いくつかの風味の成分も一緒に液体に戻されるため、蒸留酒は独特の風味をもつのです。

たとえば、芋焼酎の原液は、芋の色に由来して本来黄色がかっているのですが、実際に飲む芋焼酎は透明です。しかし、芋焼酎には芋を感じさせる風味があります。これは、アルコールと一緒に、芋の風味の成分が同時に分離されたためです。

このように、分離の技術をうまく使うことで、色がないのに原料の風味が感じられる飲み物をつくることができるのです。

透明なミルクティーは、蒸留を応用してつくられる

透明なミルクティーを飲んでみると、本物の紅茶の風味が感じられます。透明なミルクティーは、紅茶の茶葉を原料につくられているからです。しかし、茶葉にお湯を注いで紅茶にしてから色を抜いて……というようにつくられているわけではありません。先ほど述べた蒸留を応用しているのです。

透明なミルクティー『サントリー天然水 PREMIUM MORNING TEA ミルク』[1]を販売しているサントリー食品インターナショナルによれば、茶葉に水蒸気をあてて、茶葉の風味成分を水蒸気に含ませてから、水蒸気を冷却して液体にすることで、透明な紅茶をつくっているとのこと。

しかし、風味を抽出するだけでは足りません。たとえば、リンゴの香りのついたアップルティーは、たしかに香りはリンゴであるものの、甘味や酸味といった味は感じられませんよね。透明飲料では、味の部分も本物に近づくように調整する必要があります。

透明なミルクティーの場合は、牛乳に含まれる成分のうち、透明な成分である「乳清ミネラル」や「乳糖」という成分などを混ぜ合わせることで、牛乳のコクを再現しています。

ビールは「麦」と「発酵」を変えると透明になる?

一方で、透明なビールは、ビールの製造工程の一部を変えることでつくられています。

ビールの製造工程は大まかに言えば、大麦を発芽させた「麦芽」をお湯で溶かしたものをろ過し、そこに苦味や香りのもとである「ホップ」を加えて加熱、さらにそれをろ過したものを酵母で発酵させ、熟成させるといった流れでつくられます。

このとき、ビールの色の決め手となるのは「原料の麦の色」と「酵母の発酵」です。

麦には黄金色のものや褐色のものなど、さまざまなタイプがあり、つくりたいビールごとに使う麦の種類や配合を変えます。たとえば、黒いビールをつくりたいときには、「黒麦芽」や「カラメル麦芽」を多く配合。透明のビールをつくるときには、なるべく色の薄い麦を使い、かつ麦自体の配合量を少なくする工夫がされています。

また、ビールのアルコール分は酵母の発酵によってつくられますが、酵母はビール原液の中で生き抜くために、さまざまな化学反応を行っています。私たちが食べ物から栄養素を取り込むのと同じように、原液の中から糖分やアミノ酸を体に取り込んでいるのです。

酵母がアミノ酸を取り込んで行う化学反応の中には、色のついた成分をつくり出すものがあることが知られています。透明なビールをつくるときには、原液中のアミノ酸の量を減らす工夫をすることで、酵母が色のついた成分をつくり出すことを防いでいます。

テクノロジーで生まれる“新しい味”

他にも、透明なコーラや透明なカフェオレがあります。透明なコーラは、コーラの黒色のもととなる「カラメル色素」を使わずに、味をコーラに近づけるようなつくり方をしています。また、透明なカフェオレも、コーヒー豆からエスプレッソ抽出したものを使い、独自の方法で透明にしているとのこと。これらは現在まだ製法が公表されていないので、詳しいことは続報に期待しましょう。

食品の味や香りを分離する技術が進歩すれば、「ハンバーグ味の水」や「カレー味の水」といった、食べ物の味のついた飲み物も出てくるかもしれません。すでに、先鋭的なカクテルである「ミクソロジーカクテル」の世界では、特殊な蒸留装置を使って固形のブルーチーズから香り成分を抽出してカクテルに閉じ込めるといったことが行われています。テクノロジーによって、今後どんな新しい味体験が登場するのか、今から楽しみですね。


source:
[1]サントリー天然水 「PREMIUM MORNING TEA」 高濃度アロマ抽出製法動画
サントリー