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メルカリ、経済産業省およびNEDOによる生成AI基盤モデル開発支援プロジェクト「GENIAC」に採択

2026.06.04

二次流通市場固有のデータを活用し、日本独自の高精度なAI検索・推薦基盤モデルの研究開発に着手 

株式会社メルカリ(以下、「メルカリ」)は、経済産業省および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)が主導する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/競争力ある生成AI基盤モデルの開発(GENIAC)」において、「Generative Retrieval技術を用いた二次流通市場向け高精度検索・推薦基盤モデルの開発」が採択されたことをお知らせします。

本プロジェクトでは、メルカリの研究開発組織「R4D」(アールフォーディー)が、フリマアプリ「メルカリ」上に蓄積された40億件以上の出品データ1をはじめとする二次流通市場固有のデータを活用し、Generative Retrieval(生成検索)技術を用いた高精度なAI検索・推薦を実現する基盤モデルの研究開発を行います。研究期間は2026年7月から同年12月末を予定しています。

背景:「一点物」を扱うフリマアプリ上の検索の課題と、日本独自のAI基盤の必要性

フリマアプリに出品される商品の多くは、型番のない中古品や一点物です。メルカリでも出品物の約8割は既存のカタログとの紐付けができない、いわゆるロングテール商品が占めています。こうした商品は説明文が簡素であったり、独特な専門用語で書かれていたりすることが多く、従来のキーワードマッチ型検索では適切な商品を提示することが困難です。

また、商品がロングテールであるほど関連する行動データも少なくなるため、購買履歴やクリックデータをもとにした推薦システムも十分に機能しません。さらに、自然言語による曖昧な検索クエリ2への対応も、従来の検索技術では限界があります。こうした複合的な課題が、お客さまの再検索や購入機会の逸失につながっています。

このような課題を解決しうるのが、今回のプロジェクトのキーとなるGenerative Retrieval(生成検索)技術です。膨大な商品の情報を学習し、商品そのものの意味や文脈を理解したAIが、ユーザーの検索要望に答えてくれるシステムです。

EC検索領域でGenerative Retrieval技術を確立しているプレイヤーは国内に存在しておらず、日本独自のカルチャー・感性に根ざしたAI検索基盤の開発は急務となっています。政府も第7期科学技術・イノベーション基本計画(2026〜2030年度)においてAIを国家戦略技術領域の一つに指定しており、生成AI基盤モデルの開発力の有無が国際競争力を左右するとの認識が広まっています。

本プロジェクトの概要:3つのデータで挑む、日本発AI基盤

メルカリの研究開発組織「R4D」が取り組む本プロジェクトでは、以下の3種類のデータを組み合わせた学習データセットを設計し、二次流通市場に特化したAI検索・推薦基盤モデルを開発します。それにより、いわゆるロングテール商品でもユーザーの要望に応じて的確に提案できたり、自然言語による曖昧な検索を行った際も、コンテキストを理解した結果を導き出せることを目指します。

① メルカリの出品データ(約40億件)

フリマアプリ「メルカリ」に蓄積された実際の出品・取引データ。価格・カテゴリ・状態・テキスト説明などの商品情報や、検索・行動ログを含む二次流通市場のリアルな需給を反映した大規模データセット。

② 資本業務提携契約を締結している「駿河屋」3の商品カタログデータ(約3,000万件)

「駿河屋」が保持するホビー・エンタメ・コレクターズアイテムを中心とした精緻な商品カタログ。日本のアニメ・コミック・ゲーム・エンタメ文化圏に深く根ざした分類体系を持ち、一点物の商品同定に不可欠なリファレンスデータとして機能します。

③ LLM合成感性口コミデータ(約300万件)

「かわいい」「レトロな雰囲気」「ラフに使えるカジュアル感」といった感性・印象語を含む口コミを、Llama4、Qwen等のLLMを用いて合成・構造化したデータ。ユーザーの曖昧な自然言語クエリと商品特性の橋渡しを可能とします。

本プロジェクトの意義

本プロジェクトは、以下の観点から社会的・事業的な意義を持つと考えています。

検索体験の抜本的な改善の可能性

自然言語による直感的な商品探索を可能にする技術基盤の研究として、フリマサービスの利便性向上につながる可能性を秘めています。本研究の成果がプロダクトへ実装されるかどうかは現時点では未定ですが、研究成果を踏まえて実装の可能性を検討してまいります。

越境取引への応用可能性

文化的文脈を持つ日本の商品データを学習した基盤モデルは、越境EC領域における検索・推薦の高度化にも活用できる可能性があります。

資源循環の加速

フリマアプリ検索の精度向上は、膨大な出品物に埋もれた価値ある商品が次の人の手に渡る機会を増やすことにつながります。二次流通の活性化は資源の有効活用にも貢献しうるものです。

メルカリR4D 所長 小堀訓成コメント

「フリマアプリの検索体験には、キーワードマッチの改善では解けない本質的な難しさがありました。この難しさに正面から向き合うため、二次流通市場固有のデータというメルカリならではの資産を使って、本プロジェクトに取り組みます。GENIACという国家プロジェクトに採択されたことを、この挑戦の意義を国に認めていただいたと捉え、二次流通市場の検索体験を前進させる研究により一層取り組んでまいります。」

GENIACについて

GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)は、経済産業省およびNEDOが主導する、国内における生成AIの開発力強化及び社会実装促進に向けたプロジェクトです。主に計算資源の提供支援を通じて、競争力のある生成AI基盤モデルの開発を加速し、日本の生成AI産業競争力の向上と、生成AIの社会実装を通じた社会課題の解決への貢献を目指しています。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/geniac/index.html

なお、R4Dのサイトに今回の研究開発に関する解説記事を掲載しておりますので、併せてご参照ください( https://r4d.mercari.com/blog/20260604_geniac_ai_details/ )

メルカリは、今後も産業界やアカデミア、国といった枠を超えてコミュニティをつなぎ、最先端のテクノロジーの発展や社会実装に貢献しながら、まだ見ぬ価値を切り拓いてまいります。

※研究に関するお問い合わせは、R4D Web内コンタクトページよりお願いいたします。


  1. 2024年9月10日時点。サービス開始日(2013年7月2日)からの日本国内累計出品数( https://about.mercari.com/press/news/articles/20240911_4billion/ )
  2. 自然言語による曖昧な検索クエリの例 :「週末のキャンプに持っていきたいビンテージ風のチェア」「結婚式に着ていける上品なセットアップ」など
  3. メルカリ、駿河屋と資本業務提携契約を締結( https://about.mercari.com/press/news/articles/20251217_surugaya/ )