研究開発組織 「mercari R4D」は、量子技術を前提に社会や産業が再構成される「量子前提時代」の実現を目指す活動の一環として、内閣府事業「ムーンショット型研究開発事業」に参画することとなりました。
今回参画する「ムーンショット型研究開発事業」は、超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対して設定された人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)に対し、挑戦的な研究開発を推進するもので、現在、国内において最も重要な研究開発事業の一つです。特に量子技術分野は、日本だけでなく世界各国が国の成長戦略として大胆な研究開発投資を行い、同分野の研究開発を積極的に推進しています。
R4Dは、2017年の設立時より、人類・社会・科学に広く貢献すべく量子情報技術を研究してきました。特に今回の事業でR4Dが担当する量子通信ネットワーク関連の技術分野は、メルカリが安心・安全でさらに便利なサービスへと発展することを目指し、R4Dが早くから精力的に取り組んできた分野の一つです。なお、当分野においては、日本で初の量子インターネット研究推進団体として2019年に発足した「量子インターネットタスクフォース(QITF)」1でR4Dのシニアリサーチャー永山翔太が代表を務めるなど、社内外において積極的に活動をしています。
R4Dは、今回、国の研究開発事業に参画することを足がかりに、メルカリグループが目指す限りある資源を循環させ、あらゆる人が可能性を発揮できる未来に向けて、「量子前提時代」の実現を力強く推進してまいります。
研究開発事業の概要
- 名称:内閣府事業「ムーンショット型研究開発事業」
- プログラム:目標6「2050 年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」
- 研究開発プロジェクト名:「スケーラブルで強靭な統合的量子通信システム」(以下、本プロジェクト)
- 代表機関:慶應義塾大学
- PM(プロジェクトマネージャー):mercari R4Dシニアリサーチャー永山翔太が、兼業先の慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特任准教授として担当(参考)
本プロジェクトでは、量子コンピュータ間の通信・ネットワーク技術の開発を目指します。量子ネットワーク技術を確立することで、単独の量子コンピュータや量子センサーの内部でしか取り扱うことのできなかった「量子データ」を通信することができるようになります。
R4Dは、量子ネットワークの通信アーキテクチャ・プロトコルの開発を担当し、理論計算やシミュレーションによって、量子ネットワークをロバストかつスケーラブルに動作させるための仕組みを提案するとともに、本プロジェクトの協力体制の中で量子ネットワークの実証を強力に後押しします。
本プロジェクトの成果から、分散型大規模量子コンピュータ(多数の量子コンピュータを繋げて構成する大型量子コンピュータ)の実現が期待できます。R4Dはこの成果をさらに発展させ、現在のインターネットにおける標準プロトコルである「TCP/IP」のような、量子インターネットの基盤的な通信プロトコルの開発に貢献することも期待しています。