株式会社メルカリ(以下、メルカリ)の研究開発組織「mercari R4D(アールフォーディー)」(以下、R4D)は、新たに研究開発アドバイザリーボードを設置し、村井純氏、川原圭博氏、尹祐根氏がボードメンバーに就任したことをお知らせします。
##アドバイザリーボード設立の背景 R4Dでは、メルカリグループのサービスや事業における将来的なイノベーション創出を目指し、関連する先端技術領域の研究開発を行っています。 今回、社外の有識者による第三者の視点での研究開発に関する諮問および意思決定プロセスを強化していくことを目的に、メルカリの研究開発に関する「研究開発アドバイザリーボード」を新たに設置いたしました。
アドバイザリーボードのチェアパーソンである村井純氏は下記のようにコメントしています。
「20世紀のコンピュータサイエンスによる第1次イノベーションは、ビジネスから切り離された、IT企業の研究グループらによって生み出されてきました。 今回日本を代表するようなベンチャー企業であるメルカリが、21世紀に純粋な研究開発のチャレンジを本格的に始めたことをとても頼もしく思います。 第1回研究開発アドバイザリーボードでは、各分野の研究計画や技術の未来に関する深い議論をすることができ、R4Dのさらなる成長に期待しています。」
アドバイザリーボードメンバーについて
###【村井純氏】
慶應義塾大学環境情報学部教授 大学院政策・メディア研究科委員長 工学博士(慶應義塾大学・1987年取得) 1984年日本初のネットワーク間接続「JUNET」を設立。1988年インターネット研究コンソーシアムWIDEプロジェクトを発足させ、インターネット網の整備、普及に尽力。初期インターネットを、日本語をはじめとする多言語対応へと導く。内閣高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)有識者本部員、内閣サイバーセキュリティセンターサイバーセキュリティ戦略本部本部員、IoT推進コンソーシアム会長他、各省庁委員会の主査や委員などを多数務め、国際学会等でも活動。2013年「インターネットの殿堂(パイオニア部門)」入りを果たす。2019年フランス共和国レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章。「日本のインターネットの父」として知られる。
###【川原圭博氏】
東京大学大学院工学系研究科教授。 2005年東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了 博士(情報理工学)。2018年「第15回(平成30年度)日本学術振興会賞」受賞。社会の様々な場面で活用されるInternet of Things(IoT)分野を支える、情報通信、ものづくり技術や無線給電技術に関するユニークな研究に幅広く取り組む。近年では、研究室で生まれた様々な研究成果を、大学発ベンチャー企業や企業とのコラボレーションを通じて社会に還元している。
###【尹祐根(ユン・ウグン)氏】
ロボット研究者、起業家、投資家。 兵庫県生まれ。九州大学工学部卒業、九州大学大学院工学研究科修士課程修了。東北大学大学院工学研究科にて博士(工学)取得。マニピュレーション技術を中心に、遠隔操作・人の技能解析とロボットへの実装・肘関節のないロボットアームなどの研究に約20年従事。 東北大学助手、産業技術総合研究所の主任研究員を経て、2007年に産総研発ベンチャーのライフロボティクスを創業。同社で、15億円の資金調達を実施しつつ、世界で唯一、肘のない協働ロボットCOROを開発し、販売。2018年に同社をファナックに売却し、完全子会社化。2018年から産総研に復帰。
R4Dの代表的な研究領域について
R4Dは、「テクノロジーの力で価値交換のあり方を変えていく」をコアコンセプトに、注力テーマとしてブロックチェーンや量子コンピュータ、インターネットインフラストラクチャやモビリティ領域に取り組んでおり、代表的な研究領域は下記のとおりです。
ブロックチェーン
ブロックチェーンが安心・安全に活用される社会の実現を目指し、技術・社会制度の両面から研究に取り組んでいます。ブロックチェーンにおけるトラスト・セキュリティ・スケーラビリティの課題に加え、ブロックチェーン技術等を用いた分散金融システムのガバナンスに関する研究を扱います。また、慶應義塾大学との共同研究により、ブロックチェーン研究をさらに推進していきます。
量子コンピュータ
量子前提時代の実現に向けて、ゲート型量子コンピュータ、量子アニーリング、さらに量子インターネットの研究に取り組んでいます。 日本で初の量子インターネット研究推進団体「量子インターネットタスクフォース(Quantum Internet Task Force)」を、慶應義塾大学や大阪大学等と共同で2019年5月に設立しました。今後さらにメンバーを拡大し、研究を加速するための施策を準備中です。 ウェブサイト:https://qitf.org/
インターネットインフラストラクチャ
快適なサービスの接続性を支える、次世代インターネット基盤技術や運用の自動化の研究を行っています。
モビリティ
ソフトロボティクスの技術と無線給電により、安全でポータブルなモビリティの研究開発をしています。 東京大学 川原研究室・新山研究室との共同研究で開発した短距離利用のパーソナルモビリティ「poimo」は、東京都先端テクノロジーショーケーシング事業「Tokyo Robot Collection」の街全体のロボット実用化に向けた事業に採択され、実証実験を行っています。
メルカリでは、テクノロジーの力で価値交換のあり方を変えていくために、未来を見据えた先端技術領域に投資してまいります。
■「mercari R4D」について 「mercari R4D」は2017年12月に設立した、社会実装を目的とした研究開発組織です。R4Dは、研究(Research)と4つのD、設計(Design)・開発(Development)・実装(Deployment)・ 破壊(Disruption)を意味し、スピーディーな研究開発と社会実装を目的としています。 ウェブサイト:https://r4d.mercari.com/