株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、研究開発組織「mercari R4D(アールフォーディー)」(以下、R4D)に所属するリサーチャー・竹井悠人と京都大学 学術情報メディアセンター 教授・首藤一幸氏が共同で執筆した論文が、ブロックチェーン技術に関する国際会議「IEEE Blockchain」に採択されたことをお知らせします。
「IEEE Blockchain」は、2018年より開催されている国際会議であり、ブロックチェーン技術およびその応用に関する研究と開発の議論が行われています。第7回目となる2024年の会議は、8月19日から8月22日までデンマーク・コペンハーゲンにて開催されます。1
なお、竹井による論文発表は、8月21日 日本時間午後9時30分頃(現地時間午後2時30分頃)を予定しております。
研究概要
メルカリのグループ会社である株式会社メルコイン(以下、メルコイン)は、暗号資産の売買サービスをお客さまに提供2 3しており、直近1年では業界最多のお客さまに暗号資産口座を開設4いただきました。
メルカリグループでは、安心・安全な取引環境の実現のために、お客さまや当社の勘定での暗号資産について、厳格な保護のための体制を維持しております。
今回採択された論文は、Ethereumと呼ばれる暗号資産の銘柄を対象とし、暗号資産の安全な保管に関する研究のさらなる延長として5、暗号資産を運用することができるステーキングと呼ばれる手法について考察したものとなります。
『Effective Ethereum Staking in Cryptocurrency Exchanges(邦題:暗号資産交換業における Ethereum ステーキング手法の検討)』
一般的に、暗号資産の取引を記録するためにはブロックチェーンと呼ばれる技術が用いられています。とりわけ、暗号資産の一つであるEthereumでは、ステーキングと呼ばれるプロセスを通じて、暗号資産の取引記録の妥当性検証に貢献しながら手数料収益を上げることができる仕組みが設けられています。本研究は、暗号資産交換業がステーキングを行うために解決すべき技術的課題を特定し、実験を通して得られたシステムの安定性および経済的収支を評価しています。
本研究の成果は、ブロックチェーンの安定性の維持に貢献するのにとどまらず、ステーキングから生まれる収益をお客さまに還元することで、メルコインが目指す新しい経済圏の創出に資するものと考えられます。
※論文は下記にて公開しています。
「Effective Ethereum Staking in Cryptocurrency Exchanges」
今後の展望
安心・安全な取引実現をより加速するため、R4Dでは引き続きフィンテック分野における情報セキュリティ、とりわけ暗号やブロックチェーン技術等を活用した先端領域に関する研究を進めていく予定です。研究対象となる領域には、ブロックチェーンの実装そのものに関する基盤技術や、分散金融(DeFi)などと呼ばれる応用サービスも含まれます。メルカリは今後もR4Dでの研究成果を通じて、メルカリグループのサービスや事業に関する将来的なイノベーションの創出とその社会実装を目指してまいります。
mercari R4Dについて
「mercari R4D」は2017年12月に設立した、社会実装を目的とした研究開発組織です。「まだ見ぬ価値を切り拓く」というミッションのもと、メルカリが目指す限りある資源を循環させ、あらゆる人が可能性を発揮できる社会の実現に向けて、産業界やアカデミア、国といった枠を超えてコミュニティをつなぎ、科学技術の力で複雑な社会課題を解決するCo-Innovation的アプローチを推進しています。