株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、研究開発組織「mercari R4D(アールフォーディー)」(以下、R4D)に所属するリサーチャー・竹井悠人と京都大学 学術情報メディアセンター 教授・首藤一幸氏が共同で執筆した論文が、暗号資産やブロックチェーン技術に関する国際会議「IEEE ICBC」に採択されたことをお知らせします。
「IEEE ICBC(International Conference on Blockchain and Cryptocurrency)」は、2019年より開催されている国際会議であり、ブロックチェーン技術および暗号通貨に関する研究と開発の議論が行われています。
第6回目となる2024年の会議は、5月27日から5月31日まで開催されます。なお、竹井による論文発表は、5月29日 日本時間午後5時30分頃(現地時間午前9時30分頃)を予定しております。
※詳細:https://icbc2024.ieee-icbc.org/
研究概要
メルカリのグループ会社である株式会社メルコイン(以下、メルコイン)は、2023年3月より暗号資産交換業を開始し、現在は暗号資産の売買サービスをお客さまに提供※2※3しています。
※詳細:https://about.mercoin.com/news/20230309_bitcoin/ ※詳細:https://about.mercoin.com/news/20240521eth/
メルカリグループでは、安心・安全な取引環境の実現のために、お客さまや当社の勘定での暗号資産について、厳格な保護のための体制構築に努めてまいりました。
今回採択された論文2件は、安心・安全な取引実現をより加速するため、暗号資産の流出および毀損を防止するための合理的な手法の提案をまとめたものとなります。
『Pragmatic Analysis of Key Management for Cryptocurrency Custodians(邦題:暗号資産交換業における鍵管理実務の分析)』
本研究は、暗号資産を管理するために用いるウォレットと呼ばれる仕組みについて、あらゆる技術的な手法を比較し、それぞれ安全性の評価を行いました。日本の暗号資産交換業は法令上、特にコールド ウォレットと呼ばれる手法を利用するよう求められていますが、本論文では極限まで安全性を高めた形態でのコールド ウォレットの運用方法について提案しています。
本研究の成果は、メルコインのみならず、暗号資産を取り扱うあらゆる事業者でのセキュリティの向上に資するものと考えられます。
※論文は下記にて公開しています。
「Pragmatic Analysis of Key Management for Cryptocurrency Custodians」
『FATF Travel Rule’s Technical Challenges and Solution Taxonomy(邦題:FATFトラベルルールの技術的課題とソリューション分類)』
本研究は、金融機関に課されたトラベルルールと呼ばれる国際的な義務に関して、暗号資産を取り扱う事業者が履行する際の技術的な課題とその解決策について論じています。トラベルルールは資金洗浄の防止を目的とした規制ですが、匿名性が高い暗号資産に適用するには技術的な課題が存在します。我が国でも2023年6月から暗号資産交換業にトラベルルールの遵守が義務付けされており、本論文による知識の体系化は、トラベルルールの理解と改善に貢献するものとなります。
※論文は下記にて公開しています。
「FATF Travel Rule’s Technical Challenges and Solution Taxonomy」
今後の展望
安心・安全な取引実現をより加速するため、R4Dでは引き続きフィンテック分野における情報セキュリティ、とりわけ暗号やブロックチェーン技術等を活用した先端領域に関する研究を進めていく予定です。研究対象となる領域には、ブロックチェーンの実装そのものに関する基盤技術や、分散金融(DeFi)などと呼ばれる応用サービスも含まれます。メルカリは今後もR4Dでの研究成果を通じて、メルカリグループのサービスや事業に関する将来的なイノベーションの創出とその社会実装を目指してまいります。
mercari R4Dについて
「mercari R4D」は2017年12月に設立した、社会実装を目的とした研究開発組織です。「まだ見ぬ価値を切り拓く」というミッションのもと、メルカリが目指す限りある資源を循環させ、あらゆる人が可能性を発揮できる社会の実現に向けて、産業界やアカデミア、国といった枠を超えてコミュニティをつなぎ、科学技術の力で複雑な社会課題を解決するCo-Innovation的アプローチを推進しています。